聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

のどを潤しながら振り返る。


3人とも初参加となった今回。パンフレットによると、なんと100を超える企業が参加していた。

さすがに全部を回るのは無理なので、より多くの情報を集められるよう、途中から別行動に。

興味を惹かれた会社を中心に複数見学しつつ、概要が書かれたチラシや小冊子を可能な限り受け取って。

最後は相談ブースに立ち寄り、書類を添削してもらった。



「改めて思ったけど、色んな人生があるんだな」

「え、どうしたの急に?」

「ポエムか何か?」

「違う違う。今日みんな添削してもらったじゃん? 好きな物が同じでも、みんな、経験してきたことは違うんだなぁって」



感慨深そうな表情でそう語った純次くん。


情報共有の一環として、帰りの電車の中で、自己PRを発表し合った。


清水くんは転勤族で全国各地を飛び回った経験から、文章には『地域』『文化』『価値観』といった単語が使われていた。

自営業の家で育ち、幼い頃からお店の手伝いをしていた純次くんは、『おもてなし』『身だしなみ』『言葉遣い』など、接客を感じさせる言葉が入っていて。


私は、スポーツに打ち込んだ経験と、そのキャリアの長さから指導係を任されていたエピソードを取り上げて、『協力』『チームワーク』『伝える』という言葉を使った。


全員、書き出し方や構成は似ていたが、内容はこの通り、全くもって違った。



「ああ〜、なんか急に寂しくなってきた。なぁ、ちょっと寄り道して帰らない?」

「うん。いいよ」

「私もいいよー。どこに寄る?」



未来について語ったからか、私も寂しさが込み上げてきた。


今は同じ町に住んでいるけれど、卒業後は、どうなっているかはわからない。

この町に残る人もいるかもしれないし、地方に配属されて離れる人もいるかもしれない。


社会人になったらなかなか時間が取れなくなるんだろうけど……年に1度は、こんなふうに集まれたらいいな。


結婚しても、親になっても、おじいちゃんおばあちゃんになっても。真面目な話から他愛もない話まで、語り合いたい。


そんなことを考えながら、私たちは近くのファミレスへと向かった。