聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「ならさ! 飲んでみる?」

「え、でも……」

「大丈夫大丈夫! まだ口つけてないから! あっちにお冷あるから、半分こして飲まねぇ?」



匂いを嗅がせるようにグラスを顔に近づけてきた。


見た目はほぼ水。

しかし、ひとたび揺れ動けば、独特で癖のある香りが鼻の奥まで貫いた。



「せっかく飲み放題なんだしさ! 色々試しちゃおうよ!」

「まぁ、それはわかるけど……」

「あ、もしかしてお湯が良かった?」

「いや、私はどっちでも……」



もしこの場に兄がいたら、目と眉を吊り上げて止めに入っていただろう。

そして帰り道に、「嫌ならハッキリ断われ」「こういう時こそブザーの出番だろうが」と強い口調で優しく叱るんだ。


別に、抵抗を感じているわけではない。

彼も、私が挑戦したいのならと背中を押しているだけ。

だけど、兄と同じ体質だったらと考えると、安易に首を縦に振れない。


かといって善意を無下にするのは心苦しいしな……。