聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

新たな比喩の登場に横を向いたら、岸元さんが立っていた。



「自己分析はどう? 捗ってる?」

「はい。あの、これは…」

「サービス。賞味期限今日までだから。良かったら食べて」



テーブルに1切れサイズのチーズケーキ3皿と、コーヒーが入ったティーポットが置かれた。

飲食店で働く身としてはゴミ箱行きは心が痛む。お言葉に甘えていただくことに。



「金子くんは、いちごかな。ジャムにソースにお菓子に……色んな姿に変化できるように、その人の性質に合わせた会話ができるからね」

「へへっ、そうですか? っていうか、お仕事はしなくて大丈夫なんですか?」

「うん。もうランチタイム過ぎたし。お客さんも君たちだけだから」



そう言われて店内を見渡すと、空席だらけだった。

いつの間に帰ったのかと驚いたが、それだけ発表に集中していたということだ。



「清水くんは、ネギかなぁ。メインで使われるよりも、彩りを加えるようなサブの役割のイメージが強いからね。いると助かる、縁の下の力持ちみたいな感じかな」

「ありがとうございます。……いつまでツボに入ってるの」

「だって、1人だけ野菜って……」



プルプルと肩を震わせる純次くんに、清水くんが呆れたように溜め息をつく。

それから30分ほど深掘りし、座談会は終了。自分を客観視できた有意義な回となった。