聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

クリスマス、お正月、成人式にバレンタイン。イベント祭りだった冬が幕を閉じ、再び巡ってきた春。



「こんにちは〜」



履修登録を済ませたその帰り道、私は清水くんと純次くんを連れて、岸元さんのレストランへ向かった。



「いらっしゃいませ」

「予約していた前田です」

「前田様ですね。お待ちしておりました」



柔らかなウェーブヘアを揺らして歓迎してくれた岸元さん。

「こちらへどうぞ」と案内され、窓際のテーブル席に座った。



「今日は長居するかもしれませんが、よろしくお願いします」

「いえいえ。ご注文が決まりましたらお呼びくださいね」



岸元さんはそう言うと、「頑張ってね」と小さくファイティングポーズをして戻っていった。荷物を足元のかごに入れてメニュー表を開く。



「ボロネーゼとカルボナーラは確定として。あと何にする?」

「トマトとクリームときてるから、オイル系はどう? ペペロンチーノとか、ジェノベーゼとか。魚貝類だと、ボンゴレビアンコとか」

「美味しそう〜。でも、辛いのが苦手な人もいるかもしれないから、ペペロンチーノはやめたほうがいいかな?」

「だな。みんながみんな俺みたいな舌を持ってるわけじゃないし。ってかアラビアータ頼んでいい? 朝飯食べてないからお腹ペコペコでさ」