聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「スタッフもだけど、お客さんもノリノリで。みんな、『サンタさーん』って呼ぶの。平日でもお昼から満席だから、こんな感じで、あっち行ったりこっち行ったりしてて……」



前回の様子を再現していたら、突然、腕を引っ張られた。

バランスを崩し、そのまま彼の胸に正面から飛び込む。



「ごめん、いきなり。後ろ、自転車来てたから」

「う、ううんっ。あり、がとう」



その直後、チリンチリンとベルの音が聞こえた。

自転車が走り去っていくのを確認して、ゆっくり体を離す。



「ん? どうしたの?」

「っ、リ、リップが……」



ドキッとしたのもほんのわずか。視界に入ってきた光景に顔が青ざめる。


ストライプ柄のシャツに付いた、赤い口紅の跡。

サンドイッチを食べた後に塗り直したため、シワがわかるほどにベッタリと付いてしまっている。



「ごめん……!」

「大丈夫だよ。それより前田さんは平気? いきなり引っ張っちゃったけど、痛くなかった?」