聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「あっ、またあった!」



11月半ば。駅前の大通りを歩いていたら、オフィスビルの出入口に飾られているクリスマスツリーが目に入った。



「可愛い〜。いちごミルクみたい」

「珍しいな。白は見たことあるけど、ピンクは初めてかも」

「あんま見ないよね。あ、でも純次くんのとこも珍しい色だったよね?」

「うん。一応、金色」

「金子だけにってやつ?」

「そうそう。覚えてもらいやすいようにって。ここまで大きくはないけどな」



愛らしい色合いのツリーを眺めつつ、ビルの前を通過する。


週の始まり。月曜日の夕方。

低い気温と短い日照時間の影響で、毎年この時期は憂鬱な気分になりがち。だけど、今日は朝から鼻歌を歌うくらいルンルン気分。



「あっ、あれ? 木目調の、しましま屋根の」

「うん。そこそこ」



両隣の彼らの声に、耳がピクリと反応した。

清水くんの指先をたどって目的地を視界に捉えると、胸の弾みも最高潮に。スキップしたい気持ちを抑えて歩を進める。