聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

誤解は解けたけど、それは前田さんだったから。

もし隣にいたのが他の人……後輩だったら確実に気を遣わせていたし、心配どころか不安にさせていたかもしれない。

真剣はいいとしても、深刻になりすぎないようにしないと。



「前田さんは、こういう山登りとか、運動した後に筋肉痛って起こる?」

「うん。大学生になってから運動する機会減ったし。毎回ではないけど、キャンプとか遠出した時はたまに起こるよ」

「そっか。部活やってた頃は、どのくらい運動してたの?」

「ほぼ毎日かなぁ。休日も自主練してたから。夏休みも今のお兄ちゃんみたいに毎朝走ってた。平日は2時間くらいで〜……」



時間からメニューまで、詳しく教えてくれた。

平日も休日も。天気問わず季節問わず。彼女の両親いわく、赤ちゃんの頃から活発で、あちこち動き回っていたらしい。



「すごいね。聞いてるだけで汗かいてきた」

「さすがに体調崩した日はおとなしくしてるよ? でも、お兄ちゃんと弟はもっとパワフルだから」

「何かスポーツやってたの?」

「お兄ちゃんはバレーボールで、弟は私と同じバスケ。お兄ちゃんは朝練の前にランニング行ってたし、弟は今高校生で自転車通学してるんだけど、学校まで1時間近くかけて行ってる。天気が悪い日はお母さんに送ってもらってるけどね」