聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

初心者コースだからと予行練習もせず舐めてかかったせいで、去年は散々だった。

寝返りするたびに悶絶してたもんな……。

起き上がるのもトイレに行くのも補助が必要で、食事も毎食部屋まで持ってきてもらって。お風呂も湯船に浸かるのが精いっぱいだった。

明日は振替休日だからゆっくり休めるけれど、もうあの屈辱は2度と味わいたくないから。



「清水くん」

「ん?」

「顔、強張ってるけど、大丈夫?」

「大丈夫。俺、そんな怖い顔してる?」

「怖いというか……なんか、目が、切羽詰まってる感じがするといいますか……」



隣を歩く前田さんが、おずおずと顔色をうかがってきた。

下がった眉尻と声色から、必死に言葉を選んでいる様子が伝わってくる。



「トイレ我慢してる?」

「違う違う。トイレは家でしてきたから。去年筋肉痛でやられたから、今年は気をつけないとって」



そう答えると、「なんだ、良かった〜」と安堵した表情に。

帽子を整えるふりをして眉間を触ったら、シワがくっきり2本寄っていた。山道よりも険しい顔を浮かべていたのかと、軽く落ち込むとともに反省する。