聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

──ただ、寂しいからだと思ってた。

自分の知らないところで、自分の知らない人といて、自分の知らない表情を見せていて。

いつも一緒にいるからこそ、水臭さを感じて、勝手にやきもちを焼いていたんじゃないかって。



「次のバス、何分に来る?」

「えっとね……あー、俺たちのは20分後だな」

「えええー。ってことは10時過ぎかぁ。お兄ちゃん大丈夫かなぁ……」

「一言連絡入れてみたら? まだ外にいるなら繋がるかもよ?」



ゆっくり立ち上がり、支えてもらいながら公衆電話へ移動した。

使い方と打ち方を教わり、十円玉を投入。兄のポケベル番号を打ち、「0906103」とボタンを押した。

読み方は「遅れる照未」。送信するのは初めてだが、名前がわかれば伝わるだろう。



「重ね重ね、ありがとうございます」

「いえいえ。金子の一声が、まさかここで役立つとはね」

「今度会ったらお礼言わなきゃね」



ベンチに戻って、再び時間を潰す。


まだこの感覚に、名前を付けて、ハッキリと断言することはできない。

けど──1つだけわかるのは、清水くんは、他の人とは少し違う、特別なお友達だということ。


20歳1日目は、感動と幸せと、ちょっぴりの痛みと、ときめきで満たされたのだった。