聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「ビール、どんな味がするんだろう」

「美味しいって聞くけど、苦味があるみたいだよね。お兄さんはどんなの飲んでる?」

「缶チューハイが多いかなぁ。たまにスパークリングワインも買って……」



すると、私たちが乗る路線の番号が表示されたバスがロータリーに入ってきた。

しかし、立ち上がった瞬間、足に痛みが走り、思わず顔をしかめる。



「どうした? どこか痛い?」

「足が……ちょっと」



ベンチに腰を下ろして視線を落とすと、両足の親指の内側が赤くなっていた。

おまけに右足の薬指には擦り傷のようなものができており、微量だが血が出ている。

バスに乗る前も若干痛みはあったけれど、ヒリヒリする感覚はなかったため、恐らく車内で誰かに足を踏まれていたのかもしれない。



「俺、絆創膏持ってるから。手当てするよ」

「いいよいいよ。どうせもうすぐバス来るし……」

「ダメ。短時間でも放置してたらバイ菌入るし。もし踏まれたら悪化するでしょう?」



恥ずかしさと申し訳なさを理由に断ろうとする私を、清水くんはド正論で言いくるめた。

「はぁい……」としぼんだ声で返事をし、おとなしく従う。