聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「すぐ捨てられますもんね。使いやすいのはどれですか?」

「ステンレスとシリコンかな。薄いし軽いし、お手入れもしやすいから初心者にオススメだよ」

「ステンレスと、シリコンですね」



メモしていたらアクが出てきたため、ざるで取り除いた。

お肉の赤みが消えてきたら、あらかじめ小皿に出しておいたみりんとしょうゆを投入。アルミホイルをくしゃくしゃにしてシワをつけ、具材の上に敷いて蓋をした。

先輩いわく、ここから10分ほど煮詰めるとのこと。



「10分経ったら1度中身を混ぜて、また10分くらい煮る」

「10分煮て、また10分煮る……」



再びメモ帳にペンを走らせる。

煮物って味が染み込んでるから、前日から下準備しておくものなのかなと思ってたけど、間近で工程を見ていたら少しハードルが下がった。

材料も全部スーパーで揃うものばかりだし。コツを掴めれば1時間もかからなさそうだ。


丸椅子に腰かけて書きそびれた箇所がないか見直していると、背後に人の気配を感じた。



「これは肉じゃが? 美味しそう〜」

「ビックリした……脅かさんでよ」