聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

「眼鏡はいいの……?」

「うん。ずっとかけてると耳痛くなるし。帽子屋の時みたいに、落としたらなくしそうだしさ。たまにはいいかなって」

「そっか。爽やかで、夏らしくていいと思う。似合ってるよ」

「そう? 良かった。ありがとう」



素顔を解禁した彼が、嬉しそうに目を細める。

知的で落ち着いた色合い。柔らかな微笑み。入学から約1年半、幾度となく見てきた。髪もどちらかというと清涼感のあるスタイル。

なのに、ほのかに色気を感じるのはなぜだろう。



「純次くんビックリするだろうね」

「誰!? って言いそうだよな。浴衣も着てくること伝えてないから。でも、前田さんも驚かれそう」

「ええ? そう? 確かにいつもと違うけど……」



視線を浴衣に落とす。

『自分らしさも残しつつも、成熟した大人の雰囲気を出したい』

という希望から、浴衣は王道の紺色を選択。柄は大きめの花柄で、帯と髪飾りは黄色で揃えた。



「浴衣着てくるって言ってるし、純次くんのことだから、顔周りに関してはスルーだと思う」

「それもそうだね。今日は、少し目元濃ゆくしてる?」

「うん。ナチュラルメイクだと顔が負けちゃうから」