聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース

流れる景色を眺めていると、バス停のベンチに座る浴衣姿の男性を目に捉えた。


グレーに黒のストライプ柄。

普段のシンプルな私服も素敵だが、田尻さんの言ってた通り、彼の雰囲気にとてもよく似合っている。


バスが停車し、ドアが開いて清水くんが乗ってきた。車内を見渡す彼に「おーい」と手を振って呼びかけると、柔らかな笑みをこぼして近づいてくる。



「さっきぶり。同じバスだったんだね」

「混むだろうと思って、1本早いのにしたの」

「俺も。隣いい?」

「どうぞどうぞ」



壁側に体を寄せ、スペースを空ける。

身をすぼめなくても充分余裕はあるし、去年は今以上に体を密着させていた。

あの時も心臓が暴れまくっていたけれど、今回は恐怖からのドキドキではなくて──。



「……前髪、上げてるの初めて見た」

「あぁ、下ろしてると野暮ったく見えそうだったから」



走行音でかき消されそうな声量にも関わらず、拾ってくれた清水くん。

いつもは眉毛が隠れる長さで、額は隙間からチラリと見える程度だった。

しかし、今日は大胆にかき上げられており、端正なお顔が全開になっている。