「彼女と出逢ったのはね、僕が河原で絵を描いてるときなんだ」
その時僕は晴れると必ず河原でスケッチをしていた。
遊ぶ子供たち、流れていく雲、散歩している老夫婦。同じ場所なのに毎日変わる風景を描くのに僕はハマっていた。
いつもの様にスケッチしていたときだった、後ろから「素敵な絵ね」と声を掛けられたのは。
ビックリして、少し変な方向に線が向いてしまった。
「あ、ごめんなさい!描いてる途中に声を掛けるなんて失礼でしたね」
透き通る綺麗な声の方を振り向くと、そこには綺麗な顔立ちの彼女が申し訳なさそうにして立っていた。
「い、いえ!!大丈夫です!このくらい消せるので…!」
そう言って消しゴムでズレた線を消してみせる。



