もう一年も彼女と付き合っているのに未だに彼女とのデートは少し緊張する。
明日は美術館に行ったあと、彼女が行きたいと話していたカフェに行く予定だ。
「何だかさ、最近彼女と上手くやっていけるか不安なんだ」
クロは何も言わなかった。
それでも僕は続けた。
大学3年生になった僕達には就活というものがのしかかってくる。
早い人だともうちらほら内定を取っている人もいる。
彼女もその内の一人で、実家のアンティークショップを継ぐらしい。
しっかりと自分の将来を見据えている彼女。現実的な彼女。自分を持った彼女。
自分に無いものを全て持っている彼女。
そんな彼女に劣等感を感じてしまうのだ。
彼女はなんで僕なんかを好きなんだろうか。



