幸福を呼ぶ猫


それが家に帰るとその日一日あった何気ないことをクロに話すようになった。
そのせいか、今日はバイト先の店長に「佐之くんなんか雰囲気変わったね〜。なになに、彼女でも出来た?」なんて言われた。

「いや、まあ、あははは」と濁しといたけど、本当は彼女なんかじゃなく猫を飼っただけなんだけどね。
それに、わざわざバイト先の店長に言う必要も無いと思って言ってなかったけど彼女は一年前からいる。

田舎のお嬢様大学と呼ばれる所に通う彼女は、地元では有名なアンティークショップの一人娘だ。
その為か彼女は品が良い上に容姿端麗だ。
何故そこらへんの美大に通う何処にでも居そうな僕と付き合っているのか僕も分からない。