幸福を呼ぶ猫


クロが不幸を呼ぶ…?
確かにそんな話しを耳にしたことはあるが、そんなの迷信に決まってる。

クロはどっちかというと幸福を呼ぶ猫だ。
そうに決まってる。
だって、クロと出逢って僕が不幸だったことはただの一度も無いんだから。

「なんでそう思うの?」

「そういう言い伝えがあるからよ。それに私の祖母だって、黒猫を飼ってから病気にかかって亡くなったわ。」

彼女のおばあさんのことは、不幸だけど偶然としか思えなかった。だけど、流石にそんなことは言えなかった。
彼女は両親の影響なのか偏った先入観を持っている。そして、自分の意見を曲げることがない。

「そう。でも、クロは捨てないから。クロは僕にとっては幸福を呼ぶ猫だからね。」