「なんで黒猫なんて飼ってるの?」
彼女は少しも笑うことなく僕に問う。
「なんでって、拾ったんだ。理由なんて必要ない、と、思うんだけど…」
彼女が何を言いたいのか分からない。
クロを飼うのを決めたのに特に理由なんてない。
でも、そんなの必要ないでしょ。
「黒猫なんて辞めた方がいいわ。それに拾い猫でしょう?今外に離したって問題無いわよ。」
頭が真っ白になった。
「なんてこと言うんだ。どうして、そんな酷いことを…!」
店の中なのに少し声を荒立ててしまった。
「ちょっと落ち着いて。」
これが落ち着いていられるか。
クロは僕の大切な友達なんだ。
「あのね、話を聞いて。黒猫は不幸を呼ぶ猫なのよ。」
そう言った彼女に呆れて何も言えなくなる。



