幸福を呼ぶ猫


駅から徒歩5分の所にあるパスタ屋さんでランチする。
僕は和風パスタ、彼女はカルボナーラを頼む。
彼女は食事中過度に話しかけられるのを嫌う。
なので、「美味しいね」くらいしか会話することなくパスタを食べ終える。

「美味しかったね」
「そうだね」
「……」
なにか、なにか話題……
「あ、そういえば、つい最近黒猫を飼ったんだ。」
これで話題を探す必要は当分無くなりそうだ。
クロのことなら少なくとも今日一日はずっと語れる気がする。
そう思い彼女を見ると、僕の期待とは裏腹に彼女は顔を顰めていた。
「黒猫…?」
「そう黒猫のクロ。平凡な名前だよね。」
僕は声のトーンを上げて、取り繕うように笑った。