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数日後。


海斗は白い花束を手に歩いていた。


夏休みはもうすぐ終わるのに、まだまだ暑い日が続きそうだ。


「まじで暑いなー」


呟いて額に滲む汗を拭う。


熱さのせいで歩みが遅くなり、あやうく遅刻してしまいそうになった。


慣れた入り口から院内へ足を踏み入れると冷房がきいていて生き返る。


そのままエスカレーターに乗って5階のボタンを押した。


あの花火大会の日。


梓は意識を失った。


すぐに先生を呼んで対応してもらったけれど、本当に危うい場面だった。


今思い出しても全身から血の気が引いていく。


チンッと情けない音がしてエスカレーターが5階に到着したことを知らせる。


目の前の扉が開いて、ナースステーションが視界に入る。


白衣を来た女性看護師がこちらに気が付いて「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれる。


まるで喫茶店の常連客にでもなったような気分だった。


ぎこちなく笑顔を返して、廊下の奥の病室へと向かう。