首取り様2

このままこの壁を登っていくのはどう考えても不可能だ。


とすると、遠回りして行くしかない。


「ねぇ、どうして大輔は来ないの?」


明宏の考えがまとまったと同時に春香がつぶやく。


後方を確認してみても大輔が追いかけてくる気配はなく、足音も聞こえてこない。


ここまで一本道だから道に迷うこともないはずなのに。


「きっと、化け物を攻撃してくれてるんだよ」


美樹が春香の手を掴んで言った。


「でも遅くない?」


確かに、化け物は一旦倒れているのだ。


そこに攻撃を加えればもう起き上がってくることもない。


それにしては時間がかかりすぎている気がする。


春香の顔色はみるみる悪くなっていき、みんな自然と無言になってしまった。