約束の12時ちょうどに駅に着いた。

待ち合わせ場所は、時計台広場なんだけど……。

さすが夏休み。駅前は大勢の人でごった返していて、どこに居るのかわからないよ。

こっちかなあ……って、キョロキョロしながら移動していると、


「寧々!」


背後から手首をつかまれた。


「わあっ、びっくりしたあ!」


振り向くと、刹那くん。

どうやら走って来たみたいで、軽く息が切れている。


「追いかけてんのに、寧々どんどん遠くに行っちゃうから」


やだ、そうだったの? 挙動不審なとこを見られていたのかと思うと恥ずかしくなる。


「久しぶり、だな」

「うん。久しぶり」


一緒に住んでいるから、たった一週間会わなかっただけで、もう1年も会っていなかったみたい。

うれしくてうれしくて、今にも心が躍り出しそう。