イチゴの甘い香りが漂うなか、出来ることはないか考えていると、


「あっ」


あることがひらめいて顔を上げた。


「あの、何かを作って渡すことは大丈夫かな……?」

「なにそれ」


興味ありそうに、刹那くんがこっちに体を向けた。


「例えば、ちょっとしたお菓子を作って、配れたらなあと思って」


この甘い香りに引き寄せられて、そんなことが思いついたんだ。

おしゃべりも愛想を振りまくことも得意じゃないけど、唯一私にできそうなこと。

それはお菓子作り。


「おーっ、それ名案!」


椿くんも手をたたいてノッてくれる。


「あっ、でもそれって、もしかして選挙違反になる?」


昼間、琴宮さんにもらった紙に目を走らせる。

お金や高級品は渡しちゃいけないって書いてあったけど……。