「おまえ、冗談でもそんなこと言うな」


本気で怒ってる様子の刹那くんに対して、椿くんは鼻歌でも歌うように軽く言った。


「冗談じゃないぜ? 俺、寧々ちゃん好みだし」


ドキッ!

好み、だなんて。


「は? お前は寧々の好みじゃねえよ」

「なんで刹那がそんなこと言うんだよ」

「見てりゃわかるって」

「じゃあはっきりさせようぜ。寧々ちゃん、俺と刹那、どっちがタイプ?」

「えっ?」


どっちって……。


「ね~え~」


そんなこと聞かないでほしいよっ……。


「ど、どっちも!!」


咄嗟に出した答えは、椿くんにはお気に召さなかったらしい。


「そんな答えで納得すると思う~?」


いじわるだなあ……。

うう、どうしよう。要領の悪い私は、こういう質問をうまく交わせる術を持ってない。