まあ、そうしてわたしにとっても衝撃的なことがあった日だったけれど、戻ってきた眞白もかなりショックを受けた顔をしていた。

 記憶は、本当に美化してしまっていただけらしい。

 色々許容範囲を超えていたわたしは慰めることも出来なかったけれど、ギンに何かを言われた眞白は帰るころには少し元気になっていて安心したのを覚えている。


 そんな風に7年前のことを思い出していると、眞白はさらに苦々しい表情でポツリと呟いた。

「本当、余計なものを(のこ)していくし……迷惑だよ」

「眞白?」

 何のことを言っているのか分からなくて、聞き返すように呼ぶ。

 でもハッとした眞白は誤魔化すように笑って「急ごう」と急かした。

「話しながら歩いてちょっとゆっくりしすぎたみたいだ。早くしないと遅刻するよ」

 そう言って早歩きで進んでいく。


 話したくないことなのか、話せないことなのか。

 どちらかは分からないけれど、言いたくないなら追及するつもりはない。

 ただ、少しの疑問が残るだけだ。


 わたしは口を閉ざし、急ぐ眞白の後をついて行った。