☆☆☆

友人たちと過ごす楽しい時間はあっという間に過ぎていく。


どれだけもう少し長く一緒にいたいと思っても、太陽が落ちてくるにつれて門限は近づいてきてしまう。


「そろそろ帰らないとねぇ」


太陽が傾き始めたのを見て1人が言った。


「そうだね」


もう1人が同意しても、アサミはななか頷くことができなかった。


もう少し一緒にいたい。


遊びたい。


それが現実逃避だということはわかっていたけれど、そう思わずにはいられなかった。


「どうしたのアサミ?」


「ううん。大丈夫、そろそろ帰ろうか」


にっこりと笑顔を浮かべたとき、中学校の方向からフルートの音が聞こえてきて3人同時に足を止めていた。


そして学校のある方角へと視線を向ける。


「今日も練習してる子がいるんだね」


「あれってフルートの音?」


聞かれて、アサミはぎこちなく頷く。


間違いなくあれはニナが奏でるフルートの音色だ。


離れていてもそれがわかるくらい、一緒に練習してきた。