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アサミが音を奏でれば植物はそれに反応してぐんぐん成長した。


そしてその翌日部活で練習をすると、アサミの演奏は前日よりも更にいいものになっているのだ。


「ニナさんも頑張ってるけど、ねぇ……」


先生が1人で練習しているニナにそう声をかけているのが聞こえてくる。


先生がいわんとしていることはわかっているはずだけれど、ニナは練習をやめずに続けている。


真剣に練習するニナを尻目に、アサミはいつもより30分早く練習を終えることにした。


ここで練習していてもどうせ上達しないことはわかっている。


家に帰って、あの植物の前で練習をするのだ。


それだけで上達していく。


「先生、今日は少し用事があるので、帰らせてもらっていいですか?」


「あらそうなの? アサミさんなら少し練習しなくても大丈夫でしょう、いいですよ」


にこやかに見送ってくれる先生に御礼を言って1人で部室を後にした。


もちろん手にはフルートのケースを持って。


「あれ、アサミもう帰るの?」


ニナの横を通り過ぎようとしたとき、後からサトコに声をかけられて立ち止まった。


「うん。今日は家の用事があるの」


「そっか。アサミの演奏もっと聞いていたかってけど、仕方ないね。またあしたね」


「うん。またね」


そうして、練習を続けているニナを横切って校舎を出たのだった。