刑事さんたちが帰ってから、ふと、付き合っていた頃から耕平の携帯に登録している私の番号は「0」発信だった。
 それを思い出したら、無性に泣けてしまった。

 0は特別な数字だから、生涯あいぼんの数字―――

 馬鹿じゃないの。
 何で別れて何年も経つのに、未だに私の番号を0発信にしてるの。
 
「……何やってんのよ耕平。馬鹿じゃないの。私にお祝いとか渡してる場合じゃないじゃん。もう何してんのほんと……」

 早く逮捕されて欲しい気持ちもあったし、不謹慎ながら、逃げ切って欲しい、そう思う自分もいて、気持ちがぐちゃぐちゃに乱れて、もう、何が何だか分からなくなっていた。

 その日、私は泣き疲れてそのまま眠り込んでしまい、翌朝、目覚めると優希から告げられた。


「―――朝方、山口県で耕平が見つかったみたいだよ」