カイとは本当に色々なところへ行った。


映画館、ゲームセンター、遊園地、水族館、動物園。


1日で2箇所を回ったときもある。


「本当に楽しかったよねぇ」


公園のベンチに座りアリスは2人の思い出を思い出す。


「そうだね。今度はどこに行く?」


隣に座るカイは無邪気に聞いてくる。


今日が自分が消滅してしまう日だなんて思ってもいない様子だ。


アリスはそれに合わせて「どこに行こうかな?」と返事をする。


もう2人に未来なんて訪れないと知っているのに。


笑顔で会話をしながらもアリスの心の奥から悲しいという感情が何度も湧き上がってくる。


そのたびに涙が出そうになり、おえつが漏れてしまいそうになり、アリスはグッと下唇を噛み締めて我慢した。


別れるときは笑顔でと決めているのだ。