「明日は水族館へ行こうよ。明後日は動物園。次は遊園地。その次は、えーっと」


アリスは次々と未来の約束を思い描いていく。


恋人らしいデートなんてなにもしてきていないから、すべてのことを詰め込んでしまいたい。


「そんなにたくさんは無理だよ。でも、1年かければできるんじゃないかな?」


1年……。


カイは自分の寿命を知っているはずなのに、まるで忘れてしまったかのように言う。


いや、実際に忘れてしまっているのかもしれない。


アリスに質問をされたときだけ自分がクローンであることを思い出し、寿命があることを思い出す。


そう思わせるような言動は多かった。


普段のカイはそれほど人間身が溢れていた。


そして翌日からは2人が考えていた通りいろいろな場所へ向かうことになった。


最初は近場にある映画館だ。


2時間映画を2人で見て、その後ゲームセンターへ行った。


カイはクレーンゲームがとても上手でたくさんのぬいぐるみをアリスにプレゼントしてくれた。


その時間はとても楽しくて、2人が一緒にいられる時間がごくわずかだなんてこと、忘れてしまっていた。