それから一週間後、マサシの顔も髪の毛も元通りになっていた。


学校へ行く前日に思い切って前髪を切りに行った。


眉毛が見えてしまうくらい短い前髪にしたことはなかったので、なんだか気恥ずかしい。


恐る恐るA組の戸を開けて中に入ると、一瞬みんなの視線を感じた。


すぐに身構えて立ち止まる。


またからかわれるんじゃないか。


笑われるんじゃないかと不安が膨らんできて、うまく笑顔を作ることもできない。


ぎこちなく自分の席へ向かおうとしたとき「髪切ったんだね、似合ってるじゃん!」と、ノリコが声をかけてくれた。


「う、うん」


照れて頭をかきながら頷く。


するとすぐに数人のクラスメートたちが近づいてきた。


「本当だ、すごく似合ってる!」


「マサシ君ってかっこよかったんだね」


「そ、そんなことないよ。一番カッコイイのはヒデアキだから」


褒められ慣れていないマサシはもじもじしながらそう言った。


ヒデアキは自分の席で笑っている。


「それに、スポーツが得意なのはタカヒロだ。勉強はチナで、リーダーシップは
ノリコ」


ノリコは嬉しそうに微笑んだ。