教育実習生の――月原先生だっけ?

 あの先生が特訓してくれたって言うけど、それでも渡瀬が必死に頑張ったってことは分かる。

 月見里の思いに応えられるくらい、渡瀬は頑張ったってことだ。


 だから、嫌でも認めざるを得なかった。

 認めるしかなかった。


 実際に認められるとも思ったし、月見里のためにこれだけ頑張れる渡瀬なら良いと思えた。


 でも、やっぱり諦めるのは簡単じゃなかったみたいだ。


 フラれるのは分かっていても、ハッキリさせたくて……悪あがきみたいだけど告白した。

 案の定フラれて、月見里は渡瀬のところに行ってしまったし。

 その背中を見て、悔しかったし……やっぱり辛かった。


 辛いと思うことで、オレはこんなに月見里のこと好きだったんだなって……。

 そう実感できてしまったことがまた悲しかった。


 友達は慰めてくれたけど、そんなすぐには元気になれるわけもなくて……。

 そんなオレについには「試合に勝ってたらOKだったって、きっと」なんてありえない励まし方をされるし……。


 だからとりあえず一人になれるところに来たんだけど……。

「はぁ……」

 やっぱりため息しか出ない。