心臓が大きく跳ねてさっき以上に顔が熱くなるのを感じる。


きっと、私は今耳まで真っ赤になってしまっているだろう。


「ごめん、つい」


慌てて手を引っ込める彼に私は大きく横に首を振った。


違う。


嫌だから振り払ったわけじゃなくて、ただビックリしただけだ。


そう伝えたいのにうまく言葉にならない。


こんな風に男性にドキドキしているのも生まれて始めての経験だ。


これはきっと緊張しているからという理由だけではない。


自分の気持ちにとまどいながらも「嬉しかったんです。ありがとうございます」と、どうにか言葉を振り絞った。

勘違いされたままで別れるのは嫌だったから。


彼は頭をかいて「そっか。それならよかった」と、安堵した声を漏らした。


「はい。あの、それじゃまた……」


「あぁ。また明日ね」


彼の言葉を聞いて私は満面の笑みを浮かべたのだった。