甘い毒に溺れ堕ちて

頭を優しく撫でて、リュックが置いてあるリビングへ。部屋を片づけるふりをして捜すと、ソファーとカーペットの隙間に挟まっていた。

母に気づかれないよう手早くブラウスに付け、ブレザーを着せる。



「え、嘘っ。もうこんな時間」



ふと壁掛け時計を見たら、出発時間から15分も過ぎていた。



「いってきますっ」

「「いってらっしゃーい」」



スクールバッグとランチバッグを持って急いで家を出た。

歩道と車道を行き来しながら、猛スピードで自転車を走らせる。



「おはよう、ございます……っ」



お巡りさんに捕まることなく、無事学校に到着。

校門に立つ生徒指導の先生に挨拶すると、驚いた顔をされた。



「おはよう。珍しいな、占部がこんな時間に来るなんて」

「お手伝いに夢中になってまして……」



苦笑いで理由を話したら、「朝からお疲れ様」と労いの言葉をもらった。小走りで駐輪場に向かい、自転車を停める。

ふぅ、なんとか間に合っ……。



「うっ……」