甘い毒に溺れ堕ちて

いざ出発! とはいかず。余った時間で双子の補助をするのが我が家のルール。

……といっても、ほぼ毎朝私が中心で手伝ってるのだけど。


ダイニングテーブルで化粧中の母に返事をし、和室でお着替え中の2人の元に向かう。



「ねぇ、トイレットペーパーは?」

「ええっ、ない? なら階段下収納見てみて」

「おねえちゃん、おしっこ」

「おしっこ? ふう〜! 晴日がトイレ行きたいって! 先に行かせてあげてー!」



廊下にいる風斗に呼びかけて、晴月の髪の毛を三つ編みにしていく。



「おねえちゃん」

「ん? どした?」

「……なふだ、なくしちゃったかも」

「名札? 幼稚園に置いてるんじゃないの?」

「まちがえて、とるのわすれちゃったの」



くるりと振り向いて、「ごめんなさい……」と消え入りそうな声で謝った晴月。

真ん丸の大きな瞳が潤んでいて、今にも泣き出しそう。



「大丈夫だよ。最後に見たのはいつ?」

「……きのう、おうちにかえってきたとき。リュックにいれてたのになくなってた……」

「わかった。お姉ちゃんに任せて」