甘い毒に溺れ堕ちて

「ごめんね。迷惑かけちゃって」

「ほんとだよ……っ」



ポカッ、ポカッと、タオルケットの上から彼の足を叩く。


藍くんの馬鹿。アホ。鈍感。なにヘラヘラ笑ってるのよ。


あなたのせいで、私はずっと不安で、恐怖で押しつぶされそうになるのを必死にこらえて。

おかげで授業も手につかなくて、テストに出るって言われたところ、聞き逃しちゃったんだよ。



「……ごめん、なさい」

「え? なんで真彩ちゃんが謝るの?」



のどから声を絞り出したら、目を丸くした彼から素っ頓狂な声が上がった。


こんなにも心が痛いのは藍くんのせい。

だけど、そもそもの発端、原因が作られたのは、必ずしも彼だけとは言い切れない。


近くの丸椅子に腰かけて、胸に溜まっていた1週間分のモヤモヤを、1つずつ順番に吐き出した。



「冷たくしてごめんね」

「いやいや。しつこくしちゃった俺も悪いし」

「ううん。私のほうこそ、もう少し優しく返すべきだったと思う」

「それを言うなら、俺も許可なしにスキンシップを……」