甘い毒に溺れ堕ちて

カーテンで閉め切られたベッドに近づき、恐る恐る声をかける。



「藍、くん。開けていい?」

「はーい。どうぞ」



返事が聞こえたのを確認して、カーテンに手を伸ばす。

ゆっくり開けると、体操着姿の藍くんが上半身を起こしてスマホをいじっていた。

私に目を移した途端、青白さが残る顔がふにゃあとほころぶ。



「真彩ちゃん! 来てくれたの?」

「お届け物頼まれて。これ、6時間目の」



スマホを枕元に置いた彼にプリントを渡した。



「ありがとう。先生と仲良さげだったけど、顔見知りだったっけ?」

「去年保健委員やってたから。……具合、どう?」

「もう平気。まだ少しだるさはあるけど、ふらつきは収まったから。ちょっと、お手伝い頑張りすぎちゃったみたい」



てへへっとお茶目な笑みをこぼした藍くん。


回復して良かった。原因がわかって良かった。

押し寄せてきた2種類の安心感に張り詰めていた緊張が解けて。へなへなと膝から崩れ落ちるようにその場にへたり込んだ。