甘い毒に溺れ堕ちて

折りたたまれたプリントを差し出してきた彼。

受け取って開いてみたら、6時間目の授業で配られた、テスト範囲の内容が書かれたプリントだった。



「俺が行くより、占部さんに届けてもらったほうが喜ぶと思うから」

「そ、そう?」

「占部さんは集中してて気づいてなさそうだったけど、あいつ体育の時、占部さんのことチラチラ見てて。テストの時も、小声で『頑張れ〜』って応援してたんだよ」



口を「え」の形にしたまま、目を見開く。


様子をうかがっていたことは茉耶からも聞いたけど、陰で声援を送っていたなんて。


だとしたら、メッセージには気づいてた……?

既読にしないのは、意地悪じゃなくて、ただ返信する気力がないからで。

私を観察していたのも、話しかけるタイミングを狙っていただけ……?



「制服とか荷物とかは掃除の時に持っていったから。そのまま保健室に行ってもらって大丈夫」

「わかった」



真相が気になって仕方ないけど、今はお届け物が最優先。

荷物をまとめて教室を後にし、小走りで保健室へと向かった。



「あらっ。占部さん」