甘い毒に溺れ堕ちて






「先生さようならー」

「はい。さようなら。気をつけてね」



放課後のチャイムが鳴り響く中、沈んだ気分で帰り支度をする。


結局藍くんは、6時間目も掃除の時間も、ホームルームの時間になっても帰ってこなかった。


体育委員の子によれば、軽い脱水症状を起こしていたのだそう。

怪我もなく、自分の手で水分補給もできていたから安心して大丈夫だよ、とのこと。


意識があって一安心だけど……あの顔色を見るに、脱水以外の症状も隠れていると思う。


寝不足とか、貧血とか、頭痛とか。

特に梅雨の時期は気圧の影響で自律神経のバランスが乱れやすいって言うし……。



「占部さん」



ネガティブ思考を巡らせていると、体育委員の男の子が声をかけてきた。



「今から帰るとこ?」

「う、うん」

「もし時間あるなら、これ、成見に渡してあげてほしいんだけど……」