甘い毒に溺れ堕ちて

自分でも驚くくらい、低い声が出た。


妄想を繰り広げるのはいくらやってくれたって構わない。

どうせ自己満足なのだから、気の済むまで好き放題言わせておけばいい。


けど……。


『いいんだよ、自分の気持ちに素直になっても』


彼の優しさを面白半分で扱われたかと思ったら、居ても立っても居られなくて。

よほど恐ろしい顔を浮かべていたのか、口をつぐんだ茉耶から「ごめんなさい……」と蚊の鳴くような声で謝られた。



「ええと……それで、先週から挨拶以外、会話は一切してないってことだっけ」

「うん」

「何か、心当たりはある? あの時ああ言っちゃったからかなぁとか」



ここ1週間での出来事を振り返る。


誕生日プレゼントはいらないと断った。

図書室で雨宿りした時、褒め言葉をお世辞だと思い込んではねのけた。そして寝顔を隠し撮りした。


モーニングコールの時もそう。

『藍くん頑張れ! 大好きラブラブ愛してる♡って言って♡』というおねだりに対し、『長い! どれか1個にして!』と突っぱねてしまった。で、結局頑張れとしか返さなかった。