甘い毒に溺れ堕ちて

横を向くと、にんまりと目を細めて微笑んでいた。

顔の造形は似ても似つかないけれど、いたずら味を含んだ口元は、誰かさんとそっくり。



「まあちゃんも恋の病にかかっちゃったかぁ」

「こ、恋……!?」

「愛妻弁当作ってきたあたりから、もしかして? と思ってたけど、よくよく考えてみたら、こしょこしょ内緒話してたし、一時期昼休みも2人で一緒に消えてたし」

「なっ……」

「デートも何回かしてるみたいだし? ショッピングモールに行った時も、最後らへん、少し遅れて来てたもんねぇ〜」



言い訳する余地も与えず、饒舌になる茉耶。

怪しまれないよう細心の注意を払って行動していたはずが、あろうことか全て筒抜けだったらしい。



「おつかいの後、どこか寄ったんでしょ?」

「えっと……」



にんまり顔からニヤニヤ顔へ。微笑みは不敵な笑みへと変化。

蒸し暑いのにも関わらず、冷や汗が額を伝う。


ダメだ。否定しようにも全部本当のことだから返す言葉が見つからない。

目を泳がせながら必死に頭を回転させる私に、茉耶は容赦なく言葉を浴びせてきて……。



「もしかしてあのワンピース、成見くんに選んでもらったの?」

「っ……!」