甘い毒に溺れ堕ちて

眉間にシワを寄せ、うう〜ん……と頭を捻らせて思い出している。


記憶をたどるも、彼の口から私の名前を聞いたのは、先週、誕生日を教え合った時のみだそうで。

2人きりの場合に限定すると、ショッピングモールに行った日が最後だったらしい。



「何かあったの? 喧嘩?」

「いや。言い争ったとかではなくって。その……」



ゴニョゴニョと言い淀む私を心配そうに見つめる茉耶。


それもそのはず。


悩んだら自力で解決。
愚痴はこぼすよりかは聞く係。
頼るよりも頼られる回数のほうが圧倒的に多い。


相談事とは無縁だった私が、『話したいことがある』と神妙な面持ちで打ち明けてきた。場所も教室ではなく周囲に人が少ない廊下を選んで。


事前連絡もなしに唐突に連れ出すこと自体、今まで1度もなかったのだから、不安に思うのも当然だ。



「私の気にしすぎかもしれないけど……」

「うんうん」

「前より、会話が減ったなって感じてて。挨拶はいつも通りなんだけど……」