「お、おおぅ⁉」

 驚くし、三人一緒に来られると身動きが取れなくなって困る。

 でも嫌ではないから振りほどけなくて、尚更困った。


「……もはや団子状態だな」

 今まで黙って見ていた奏がポツリと感想を漏らす。

 その呆れ顔をフッと微笑みに変えてあたしを見た。

「久保はまだ頼りないとこもあるけど……とにかく初彼氏おめでとう、美来」

 兄に祝われるのは結構恥ずかしかったけれど、あたしは「ありがとう」と返したんだ。


 そんな幸せが継続中のあたし。

 朝食の席でも三人に微笑まし気に見られ、奏には半分呆れられたけれど……。

 ふわふわキラキラの綺麗な世界を歩くあたしは、一端三人とは別れていつものように校舎の昇降口に向かった。


「おはようございます! 美来様!」

 そして、校舎に入る前に元気な挨拶。

「今日は焼きメレンゲにしてみました!」

 声と同時に差し出されたのは大き目な半透明のラッピングバッグ。
 その中には色とりどりの焼きメレンゲが入っていた。

「おはよう。ありがとう……今日はあなただったのね?」

 差し入れのお菓子を受け取りながら彼女――初めて差し入れをくれた後輩を見る。

「はい! やっと順番が回ってきました!」

 嬉しそうな彼女を見てあたしも笑顔になった。