久保くんと一緒の帰り道。
 校門から学生寮までの短い間だけの下校。

 夕飯まで時間があるから一度帰ろうとするあたしに、久保くんが「俺も」と一緒に校内から出る。

 途中何かメッセージが届いたのか、久保くんはスマホ画面を真剣な表情で見つめていた。


「……誰から?」

 足を止めてジッと見ているので、そんなに考え込むような内容なのかな? と不思議に思って聞いてみる。

「あ、ああ……八神さんからなんだけど……見てもらった方が早いか」

 言うと、持っていたスマホをあたしに見せてくれた。


《千隼から話は聞いた。悪かったな……。とりあえず今日はゆっくり休め》

 八神さんからこんなメッセージが来るってことは、坂本先輩すぐに伝えてくれたんだ……。

 と思いながら読み進めていると。

《でもな、美来のことを諦めたわけじゃねぇから。それだけは覚えとけ》

「……」

 なんなんだろう。
 みんながみんな諦めないって。

 この分だと如月さんも同じこと言いそうだな。


「なんか、生徒会長といい八神さんといい、諦めが悪いっつーか……」

「ホントそれだよ」

 苦笑いする久保くんに大きく頷いて同意する。

「……気持ちは分かるけどな」

 と続けた久保くんはそのまま少し黙り込んでしまった。