双子として生まれたあたし達は決して一人じゃない。

 どんなに離れていても奏との絆は切れることはない。


 それを言い聞かされた。

 あたしは泣きながら何度も頷いて、奏の言葉を身に沁み込ませた。

 あたしは奏に救われたんだ。


 あの時の言葉があるからあたしは一人だと不安にならずに済んでいる。

 あの時の言葉と、奏という存在があたしの支えだ。


 もし大人になって道が分かれたとしても、あの時の言葉が支えになってくれるだろうって確信できる。

 どんなに離れたとしても、共に生まれてきた存在がいるということがあたしと奏の支えだ。


 ケンカだってするし、腹立たしく思うことだってある。

 でも、心の奥底。

 根元の部分では切れない糸で繋がっているって信じられる。


 その糸は家族の絆。

 普通の家族の絆よりも少しだけ強い、双子の絆だ。



 だから、あたしは大丈夫。


 そしてその後、奏に付いてもらって裏アカウントの友達に確認を取ってみた。

 でもその子はそんなアカウントなんて全く知らなかったらしい。


 調べてみると裏アカウントを使っていたのはその友達の小学生の頃の悪友で、面白そうだったからやってみたなんてふざけた事を抜かしたので奏と共にぶちのめしておいた。

 そうして友達との仲も険悪になる事はなく、夏休みを終える。


 はじめに思った通り、夏休みを終える頃には噂も落ち着いていて、普通の日常が戻って来た。



 とまあ、そんな事もあったから今の状況もそこまで辛いとは思っていなかったりする。


 でも、それでもしのぶと一緒に遊んだり出来ないのは寂しいからさっさと終わらせたいところだ。

 面倒だけれど、ここを乗り越えられなきゃ大元にたどり着けないからと、あたしは気を引き締めた。