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鈴木くんを送り届け、鈴木くんの家族を別れたあと怜美は一人で帰路を歩いていた。


前に猫田さんが言っていた言葉が思い出される。


『かくりよから出てきたのは、かくりよに不満があるか、この世に未練があるかのどっちかだ』


それが本当だとしたら、猫田さん自身はどうなんだろう?


かくりよの責任者として、この世に出てきてしまった魂を沈めているけれど、猫田さん自身だってかくりよに生きる人のはずだ。


「その猫田さんがこっちの世界にいるってことは……」


呟き、立ち止まる。


猫田さんもまた、かくりよに不満があったり、この世に未練があったりするんじゃないだろうか?


ふと、学校へ振りかえる。


すでにクラブ活動は終わっていて生徒の数も少なくなっている。


少し考えた後、怜美は家に向けて歩き出した。


あの扉から出てきたのは3体の零だ。


あと1体残っている。


猫田さんのことを考えるのはその後だ。


怜美は自分にそう言い聞かせて拳を空へ突き上げると「頑張るぞー!」と、声を張り上げたのだった。