すると鈴木くんは悲しげに顔を伏せた。


代わりに猫田さんが口を開く。


「僕たちの存在は、本来ならドアから遠く離れることはできないんです」


ドアとは、あの開かずの扉のことだとすぐにわかった。


「え? でもエミさんは家に行けましたよね?」


「それはあなたが一緒だったからです」


「私が……」


怜美は自分を指差して固まってしまった。


かくりよの扉を開けることができたのも、猫田さんたちと会話ができるのも、怜美が特別な力を持っていたからだ。


かくりよの人たちが学校から離れるためにも、怜美の力が必要になるみたいだ。


けれど怜美にとっては突然出現した自分の力に驚くばかりだ。


「君が一緒なら、ここから離れられるのか?」


鈴木くんい質問されて、「そう、みたいですね?」と、曖昧にうなづく。


自分でもよくわかっていないから、今は猫田さんの言葉を信用するしかない。


「それなら僕と一緒に家まで言ってもらえないかな!?」