夏の空のようにカラッとした笑顔が、それまでくすんでいた世界に光を差す。 あの日救われたときから、本当は、手を伸ばしたくて堪らなかった。 おどおどしながらもしっかり見上げてくる瞳。 触れたら崩れていくんじゃないかと思うほど柔らかい笑顔。 好みを押し付けてくる、心地の良い傲慢さ。 なくして初めて、自分がそれを欲しがっていたことに気付いた。 だから取り戻す。 なにも難しくはない。 それだけの話だった。