もしかして、浴衣着たくなかったのは着付けが出来ないからって理由だけだったんだろうか。

 聞いてみると、肯定の言葉が返ってくる。


「ああ、そうだけど? 上手く着れなくてカッコ悪い姿見せなくて済むからな」

 まさか本当にそれだけが理由だったなんて。

 ちょっと呆れてしまったけれど。


「好きな女にはカッコイイとこだけ見せてぇんだよ」

 なんて言われてしまったらキュウンとなるしかない。




 そうして無事に浴衣も買い終え、そのままお盆に突入して陸斗とは数日会えない日が続いた。

 帰省してお墓参りしたり、家族との時間を過ごしたり。


 そんなお盆が過ぎて、花火大会の日になった。