褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

ハッと我に返った兄は、口を押さえてリビングに向かった。

その背中に……。



「……お兄ちゃん、好きな人いたんだね」



ポツリと呟いた。


きっと今、頭の中は雪塚先輩でいっぱいなんだろうな。

愛が強すぎてちょっと怖いけど、お兄ちゃんも年頃の男子だもんね。

好きすぎるあまり、何度も先輩の夢を見てそう。



「…………今言ったこと、絶対誰にも言うなよ?」

「わかってるよ。っていうか、言えるわけないじゃん……」



ギロッと睨まれ、か細い声で返答した。

西尾先輩はこのこと知ってるのかな……?



夕食後。兄に言われて自分も気になったので、お礼のメッセージを送った後にそれとなく尋ねてみることに。



【今日はありがとうございました。いきなりですけど、先輩っていつもいい匂いがしますよね! 何の香水使ってるんですか?】

【香水じゃなくて制汗剤を使ってるよ。時々フレグランスミストも一緒に使ってる】



すると、5分も経たないうちに返事と一緒に写真が送られてきた。

香水じゃなかったのか。そりゃあなかなか見つからないわけだ。


……そうだ、これ、来月のお兄ちゃんの誕生日プレゼントにしようかな。

なんだかんだ助けられてるし、ひっそり応援するだけならいいよね……?